STOP 動物虐待
警察庁が発表した「令和5年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、2023年(令和5年)の動物愛護法違反事件の検挙件数は181件であり、検挙人員は206人で、いずれも過去最多となりました。
遺棄が74件と最多で、虐待が49件、殺傷が43件と続いています。
動物虐待の統計は、児童虐待の統計に比べて集計や公表の頻度が低い傾向があります。主に警察庁や環境省などが関連する情報を公開していますが、年度ごとの詳細な全国統計としてまとまったものが公表されるまでには時間がかかることが多く、上記の数字も実際の被害のほんの一部であることが想定されます。
1. 「動物虐待」とは何か?私たちが知るべき基本
動物虐待には、殴る・蹴るといった暴力行為だけでなく、餌や水を与えない、過度な放置、劣悪な環境での飼育も含まれます。法律上の定義だけでなく、「動物の立場から見た苦痛」を想像することが重要です。
動物は物ではなく、感情と痛みを持つ命ある存在。まずは「何が虐待に当たるのか」を知ることが、第一歩です。
2. ペットを「買う」前に考えるべきこと
可愛いから、流行っているから――そんな理由でペットを飼う人が増える一方、1年以内に手放す人も多い現実。
命を迎えることは「15年以上の責任」。散歩、医療費、鳴き声、ご近所トラブル…日常のすべてを想定して、「この子の一生と向き合えるか?」を自問してほしい。
ペットは家族。軽い気持ちで迎えないでください。
3. 目を背けないで。劣悪なペットショップの裏側
ガラス越しに並ぶ可愛い子犬・子猫たち――その裏には「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれる繁殖場が存在します。
暗い小屋、母犬は何度も出産を強いられ、病気のまま売られる子も。利益優先の繁殖ビジネスは、命を「商品」として扱っています。
買う前に、「その命はどこから来たのか?」を調べる勇気を持ちましょう。
4. 飼い主になる前にできる「動物福祉チェック」
動物を飼うことは、日々の癒しや幸せをもたらしますが、その一方で「正しい知識と覚悟」が必要です。
飼い主になる前に、自分が本当に命を預かる準備ができているか、以下の5つのチェック項目を見直してみましょう。
チェック1:費用を見積もっているか?
食費、予防接種、病気の治療、老後の介護など、ペットには生涯で数百万円以上かかることもあります。
チェック2:留守時間が長すぎないか?
1日中家を空ける生活では、ペットは孤独やストレスにさらされがち。毎日しっかりと関わる時間をとれますか?
チェック3:将来のライフイベントも想定しているか?
転勤、結婚、出産、介護――どんな変化があっても「この子を手放さない覚悟」がありますか?
チェック4:アレルギーや周囲の同意は?
家族や同居人にアレルギーがないか、住環境(ペット可物件など)は整っているか確認しましょう。
チェック5:その動物に合った知識を持っているか?
犬と猫でも必要な運動量や食事、しつけの方法は異なります。きちんと学んでいますか?
5. あなたの近所にも?見過ごされる日常の虐待
外に繋ぎっぱなしの犬、汚れた水、ガリガリの体――。近所の動物が苦しんでいても「人の家のことだから」と見て見ぬふりをしていませんか?
でも、動物には声をあげる手段がありません。気づいたあなたが通報することで、救える命があります。
環境省や自治体には匿名でも相談できます。行動が命を守ります。
6. 子どもと一緒に学ぼう「命の教育」
動物虐待を防ぐ根本的な方法の一つが、子どもへの命の教育です。
生き物を飼うことは「お世話」ではなく「責任」。遊び道具ではなく、感情ある存在だと教えることが、将来の動物虐待を減らします。
学校や家庭で、「命の重さ」と向き合う時間を作りましょう。
7. 殺処分ゼロへの道:保護犬・保護猫を迎えるという選択
日本ではいまだに年間数千匹の犬猫が「処分」されています。
その一方で、保護施設には新しい家族を待ち続ける命が溢れています。
ペットを「買う」前に、「譲渡」という選択肢をぜひ検討してください。あなたの行動が、1つの命を救うことになります。
8. 動物虐待を許さない社会の作り方
虐待の多くは、誰にも見られないところで起きています。そのためには、地域・行政・市民が一体となって監視し、行動する体制が必要です。
通報制度の整備、罰則の強化、動物福祉教育の充実など、できることはたくさんあります。
「小さな命にも社会的正義を」――声を上げることが社会を変えます。
9. あなたにもできる、動物を守る5つのアクション
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保護団体へ寄付・支援
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SNSで正しい情報を発信
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異変に気づいたら通報
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ペットショップより譲渡を選ぶ
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家族や子どもと命について話す
どれも難しくありません。小さな行動が、大きな命を救う力になります。
10. 動物の声を代弁するのは、私たち人間です
動物は言葉を話せません。けれど痛みも、寂しさも、恐怖も感じています。
その声なき声を聞き取るのは、私たちの想像力と責任です。
この世界に共に生きる者として、弱い存在に優しさを向けられる社会でありたい。
動物虐待を「誰かの問題」で終わらせないでください。