走り続けた先に見える景色:男性の役割とIKIGAIの交差点
若き日から今日に至るまで、絶え間ない重圧に耐え、組織の成長や家族の生活基盤を築き上げてきた男性の皆様。その献身的な歩みは、強固な社会的地位や経済的な安定という形で間違いなく結実しています。しかし、数々の目標を達成し、ふと歩みを緩めたその時、「これからの人生の時間をより価値のあるものにしたい」「大切な人と共に、より有意義な時間を過ごしたい」という、明確な言葉にはしがたい深い渇望が内側から湧き上がってくることはないでしょうか。
現代社会において、男性が抱える内面的な葛藤は、かつてないほど国際的な注目を集めています。ここで、近年の世界的な動向を示す3つの重要なニュースをご紹介します。
1つ目は、2025年11月19日に英国政府が公表した『イングランドにおける男性の健康に関する戦略的ビジョン』です。この報告では、男性が社会的な役割の重圧から精神的な苦痛を抱え込みやすく、誰にも相談できずに孤立を深めている現状に対して強い警鐘を鳴らしました。国を挙げて男性のウェルビーイング(心身の良好な状態)を向上させるための包括的な支援策が提示され、大きな反響を呼んでいます。
2つ目は、2024年7月15日に国際的な健康推進機関であるモベンバーが公開した『男性の健康の真の顔』と題するレポートです。「男は常に強く、黙って耐えるべきである」という従来の硬直化した規範が、いかに男性の精神的な健康を蝕み、社会的な繋がりを奪っているかを詳細なデータとともに指摘しました。日常のなかに自己の存在意義を見出し、周囲との温かな繋がりを回復することの重要性が国際社会に向けて提唱されています。
3つ目は、2025年3月24日にグローバルウェルネスインスティテュートが発表した『男性のウェルネス動向』に関する最新の調査報告です。この調査では、競争に打ち勝つことや物質的な富を蓄積することだけを目的とする生き方から脱却し、感情的な回復力や自己の内面的な「生きがい」を重視する新たな価値観への移行が、世界中の男性の間で急速に進んでいることが明らかにされました。
これらの国際的な動向が示しているのは、皆様が抱く「この先の意味」への問いが、決して個人的な気の迷いなどではなく、現代を生きる成熟した男性たちが共通して直面する極めて普遍的で重要な発達段階であるという事実です。
古代中国の思想家である孔子氏は、「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」という言葉を残しています。長年にわたり「すべきこと(役割)」を熟知し、それを完璧に遂行してきた皆様だからこそ、今後はその行為そのものを純粋に「楽しむ」という境地へと移行する時期が訪れているのです。
本記事では、日本発祥の深遠な哲学である「IKIGAI(いきがい)」という概念を通じて、男性特有の「役割意識」の構造を解き明かします。ただ社会の期待に応えるだけの人生から脱却し、自己の内なる歓びに基づく真のIKIGAIを再構築するための実践的な道筋を、深い敬意と共にお伝えいたします。
鎧を脱いだ後に残るもの:「男の役割」と「生きがい」の乖離
役割という名の強固な鎧
男性は物心ついた頃から、「提供者(プロバイダー)」であり「保護者」であるべきだという強力な社会的期待を背負って生きています。特に40代から60代にかけての時期は、企業の中核としての責任、部下や後輩の育成、そして家族の生活水準の向上といった数多くの重責が最高潮に達する時期です。この過程で、多くの男性は「自らの経済的生産性」や「問題を解決する能力」こそが、自分自身の存在価値そのものであると深く信じ込むようになります。
このような役割意識は、過酷な競争社会を生き抜くための極めて有効な「鎧」として機能します。感情の揺れを抑え込み、論理と効率を最優先し、いかなる困難にも屈しない強靭な精神力を養う上で、この鎧は皆様を大いなる達成へと導いてきました。しかし、組織での地位を確立し、子供たちが独立を迎えるなど、これまでの人生を駆動してきた明確な「役割」が徐々に減少し始めた時、その強固な鎧の中で守られていたはずの「本来の自分」が、極度の栄養失調に陥っていることに気づくのです。
社会的な肩書きや、家族を養うという大義名分を取り払ったとき、そこに「ただ生きているだけで歓びを感じる自分」が存在しているかどうか。この問いに直面した際の強烈な虚無感こそが、男性特有の葛藤の本質です。「仕事のやりがい」と「IKIGAI」を完全に同一視してしまっていることが、この乖離を生み出す最大の要因となっています。
外部評価からの解放:最新の実証データが示すIKIGAIの真髄
長年、組織の最前線で他者からの期待という「役割」を完璧に演じ切ってきた男性にとって、自己の価値は「社会的にどれほど有用か」「どれほどの利益を生み出せるか」という外部評価と強く結びついています。これまで、ビジネスの延長線上にある自己啓発の領域では、能力と需要の最適化を極めることこそが生きがいであると誤認されてきました。
しかし、2026年2月に北米を拠点とする富裕層向け心理学コンソーシアムが開示した大規模な報告書は、この常識を覆す事実を提示しています 。基礎的な生活欲求を優に超えた高所得者層において、全体的な生活満足度の向上に最も寄与しているのは、年収の多寡ではなく、外的評価に依存しない確固たるIKIGAIの保有であることが確認されたのです 。
さらに、2026年1月に開催された国際心理学会議における最新の発表では、他者からの評価に一切依存せず、自己主権性を持って日々の活動に取り組む姿勢が、未曾有の危機的状況下においても精神的な回復力を飛躍的に高める最大の要因であると結論づけられています 。つまり、男性にとって真のIKIGAIとは、資本主義的な枠組みの中で自己の能力を最適化し、さらなる名声や報酬を獲得することではありません。長年纏ってきた「社会的な役割」という外部の物差しを完全に手放し、ご自身の内なる動機に基づいた「自己主権性」を取り戻すことそのものなのです
価値観の転換を示す実例
この役割意識と本来のIKIGAIの違いを明確に示すエピソードとして、オランダの世界的企業フィリップス(Philips)の元最高経営責任者であるフランス・ファン・ハウテン氏の軌跡が挙げられます。同氏は長年、巨大な総合家電メーカーの頂点に立ち、テレビやオーディオ機器などの大量消費財を世界中に販売することで莫大な利益を上げ、経営者としての「役割」を完璧に果たしていました。誰もが羨む成功と報酬を手にしていましたが、彼の内面には「このまま大量の製品を売り続けることが、自分の真の存在意義なのか」という強い疑念が渦巻いていました。
ある時期、彼は自らの内なる声に深く向き合い、経営者としての鎧を一旦脇に置きました。そして、彼自身の心が最も強く震え、理屈抜きに情熱を傾けられる対象が「人々の健康と生命を救うこと」であるという純粋なIKIGAIに気づいたのです。この内面的な転換は、フィリップスという歴史ある巨大企業の方向性を根本から覆しました。彼は、利益の柱であった家電部門を次々と売却・分離し、企業全体を医療技術とヘルスケアに特化した組織へと生まれ変わらせるという、極めて大胆な決断を下しました。
ファン・ハウテン氏のこの決断は、単なるビジネス戦略の変更ではありません。社会から期待される「巨大企業の利益を最大化する経営者」という従来の役割を捨て去り、自己の深い内面から湧き上がるIKIGAIと、事業の目的を完全に融合させた結果なのです。役割ではなく、純粋な歓びと意味を基点に行動を開始したとき、男性はこれまでの延長線上にはない、全く新しい豊かさの次元へと足を踏み入れることになります。
競争から共鳴へ:男性のためのIKIGAI再構築プロセス
鎧の重さを認め、内なる声に耳を澄ます
これまでの人生において、他者との競争に打ち勝ち、目に見える成果を上げることが絶対的な正解であった男性にとって、IKIGAIの再構築は極めて困難な作業に感じられるかもしれません。なぜなら、それは「外側の評価」から「内側の感覚」への完全な評価軸の転換を要求するからです。
プロセスにおける第1の段階は、「自分はすでに十分に戦い、十分な成果を収めた」という事実を、心の底から承認することです。ドイツの哲学者アルトゥル・ショーペンハウアー氏は、「富は海水のようなものだ。飲めば飲むほど喉が渇く」と語りました。外的な獲得目標には際限がなく、どれほど地位や資産を積み上げても、魂の渇きを潤すことはできません。まずは、これ以上自分を証明するための戦いは必要ないのだと、ご自身の心に許可を与えることが全ての起点となります。
目的探求の罠を手放す:「生体心理社会モデル」への移行
第2の段階は、論理的な戦略によって「完璧な目的」を最短経路で見つけ出さなければならないという、ビジネスエリート特有の思い込みを手放すことです。数々の困難なプロジェクトを成功に導いてきた男性は、自らの人生の意義に対しても、明確なビジョンを設定し、事業計画のように課題を解決しようとする傾向があります。しかし、この過剰な目的探求こそが、かえって精神的な疲労を生み出す要因となっています。
近年、単なる精神論ではなく、人間の構造に基づく科学的な視点からIKIGAIを分析した「生体心理社会モデル」が大きな注目を集めています 。この枠組みが証明しているのは、IKIGAIとはどこか遠くに隠された宝物や、到達すべき崇高な目標ではないという事実です。数多くの研究データは、身体機能の維持といった健康面、内面的な豊かさという心理的側面、そして孤立を防ぎ他者や地域社会とつながりを持つという社会的側面が相互に作用し合うことで、IKIGAIの最も重要な土台が築かれることを証明しています 。
2024年2月に開催された世界経済フォーラムの年次総会に関連する複数の分科会においても、組織の持続可能性と指導者の精神的充足を両立させるための枠組みとして、「いきがい」を取り入れた新しい指導者像のあり方が議論されました 。もはや、壮大な目的を掲げて自らを追い込む必要はありません。日々の積極的な生活態度のなかに身を置き、心身を整え、他者との温かな関係性を育むこと 。その日常の好循環こそが、男性を「役割の重圧」から解放し、揺るぎない充足感へと導く最も確実な道筋となるのです。
「する(Doing)」から「ある(Being)」への転換
第3の段階は、自らの存在意義を「何ができるか(Doing)」から「どのような状態であるか(Being)」へとシフトさせることです。この転換を見事に体現した人物として、米国の巨大テクノロジー企業、デル・テクノロジーズの創業者であるマイケル・デル氏の事例をご紹介します。
マイケル・デル氏は、若くして創業した企業を世界最大級のコンピュータ会社へと成長させ、圧倒的な名声と富を手に入れました。しかし、公開企業の最高経営責任者として、彼は90日ごとに発表される四半期決算の数字に絶えず追われ、短期的な株主の利益を最大化するという過酷な「役割」に縛り付けられていました。市場の期待に応え続ける日々のなかで、彼の内面からは、かつて創業時に抱いていた純粋な技術への探求心や、人類の未来に貢献するという長期的なビジョンが失われつつありました。
2013年、彼は極めて異例の決断を下します。巨額の資金を投じて自社の株式を買い戻し、企業を非公開化したのです。この行動は、市場からの短期的な圧力という強固なシステムから自らを解放し、自身の真のIKIGAIを取り戻すためのプロセスでした。非公開化により「四半期ごとの利益を追求する経営者(Doing)」という役割から降りた彼は、数10年先の未来を見据え、社会の根本的な課題解決に注力するリーダーとしての本来の在り方(Being)を取り戻しました。外部の評価軸を捨て去り、内なる価値観と日常の行動を完全に一致させたことで、彼の精神的な充足度は劇的に向上し、結果として組織全体の創造性もかつてないほどに活性化されたのです。
ご自身の日常のなかで、誰の目も気にせず、ただ純粋に「心地よい」と感じられる時間を1日15分でも確保することが、この転換の重要な第1歩となります。
役割を手放す勇気:真の充足を手にしたリーダーたちの軌跡
関係性の修復と内面的な変容
自らの役割意識を手放し、純粋なIKIGAIに基づく生き方へとシフトした男性たちには、驚くほど共通した内面的な変化が訪れます。それは「孤立からの脱却」と「関係性の修復」です。
社会的な競争の最前線にいる間、多くの男性は弱みを見せることを極端に恐れ、他者との間に心理的な壁を築きがちです。しかし、評価や利害関係から解放されたIKIGAIの世界では、自己の弱さや不完全さをありのままに認めることができるようになります。この内面的な受容は、周囲の人々との接し方に劇的な変化をもたらします。部下に対しては指示や命令ではなく対話と傾聴を重んじるようになり、家族に対しては経済的な提供者としての責任を超えた、1人の人間としての深い情緒的な繋がりを築くことが可能になるのです。
科学が証明するIKIGAIの効能
この精神的な変化は、決して抽象的な感情論にとどまりません。科学的なデータもまた、IKIGAIを持つことが人間の生命活動に極めて有益な影響を与えることを明確に証明しています。長期間にわたる追跡調査のデータによれば、「ご自身にはいきがいがある」と明確に答えられる人は、そうでない人に比べて、その後の機能障害に陥るリスクが約30%も低いことが報告されています。
さらに、目的意識が高い状態を維持している人は、心血管疾患の発生リスクが低下し、寿命が延伸することも実証されています。身体的、心理的、そして社会的な条件が相互に作用し合う「生体心理社会モデル」の観点からも、日々の生活に意味を見出している層は、予期せぬ困難やストレスに直面した際の回復力(レジリエンス)が飛躍的に高まることが確認されています。

組織と社会に波及する真のリーダーシップ
個人のIKIGAIの発見は、やがて周囲の環境全体を根底から変革する力を持ちます。この劇的な波及効果を示した実例として、デンマークの世界的製薬企業であるノボノルディスクの最高経営責任者、ラース・フルアーガード・ヨルゲンセン氏の軌跡があります。
ヨルゲンセン氏は、企業のトップに就任した際、従来の製薬業界が陥りがちであった「新薬の販売量を増やし、売上高を最大化する」という指標に対して、深い違和感を抱いていました。彼は自らの深い内省を通じて、自身の生きがいが「利益の追求」ではなく「深刻な慢性疾患をこの世から撲滅すること」であると確信しました。そこで彼は、企業の評価基準そのものを大胆に書き換えました。単なる財務的な数字ではなく、「どれだけ多くの患者の生活の質を向上させたか」という明確な目的(パーパス)を組織の隅々にまで浸透させたのです。
この経営者個人の純粋なIKIGAIの波及は、組織に驚くべき変化をもたらしました。利益至上主義による重圧に疲弊していた従業員たちは、自らの労働が人類の健康に直結しているという深い「やりがい」と「生きがい」を取り戻しました。結果として、組織内のエンゲージメントは劇的に向上し、離職率は大幅に低下するという定量的な成果を生み出しました。さらに、同社は世界の持続可能性を牽引する模範的な企業として、前例のない社会的な信頼と成長を獲得したのです。
このように、男性が自らの硬直した役割を手放し、内発的なIKIGAIに従って行動を開始するとき、その影響は個人の健康や家庭内の平和にとどまらず、組織文化の再生や社会全体の発展へと大きく広がっていくのです。
目的探しの陥穽:IKIGAIを巡る男性特有の誤解
分析と最適化という悪癖
IKIGAIの探求において、知性と論理的思考に長けた男性ほど陥りやすい深刻な罠が存在します。それは、人生の意味や目的を「解決すべきビジネスの課題」として処理しようとしてしまうことです。表計算ソフトにデータを打ち込むように、自らの強み、市場の需要、情熱の度合いを数値化し、最も効率的で最大のリターンを得られる「最適解」を導き出そうとする試みです。
しかし、このような「資本主義的な自己啓発」のアプローチは、人間の存在価値と労働を過剰に結びつけてしまい、本来の「内的な喜びやつながりに根ざしたIKIGAI」から人々を遠ざけてしまうと警告されています。日本人の多くは、海外で流行している4つの円の図解を見ても「これは自分たちのIKIGAIではない」と強い違和感を抱いています。なぜなら、日本の伝統的な感性における生きがいは、効率や最適化の対極にある、いささか非合理で泥臭い日常の営みの中にこそ宿るものだからです。
「壮大でなければならない」という思い込み
もう1つの大きな誤解は、これまでの社会的な立場にふさわしい「壮大で社会的な意義のある目的」を持たなければならないという思い込みです。「世界をより良くする」「次世代に偉大な遺産を残す」といった使命感は尊いものですが、それをIKIGAIの絶対条件として自らに課してしまうと、日々の小さな喜びを感じ取る感性が麻痺してしまいます。
高齢者を対象とした数々の研究においても、精神的な豊かさを支える中心的な要素は、決して大仰な目標などではなく、日々の小さな喜び、ささやかな趣味、そして身近な人々との温かな関係性であることが明らかになっています。朝起きる理由となるような、日常の微細な習慣の集積こそが、真の生きがいの正体なのです。
軌道修正を果たした実業家の気づき
この「壮大な目的とビジネスの罠」に直面し、そこから抜け出した人物として、米国のソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフ氏のエピソードが示唆に富んでいます。
ベニオフ氏は若くして大手IT企業で驚異的な営業成績を上げ、莫大な資産と役員の地位を手に入れました。まさに社会が定義する「男性としての役割」の頂点を極めた状態でした。しかし、その圧倒的な成功の只中で、彼は強烈な空虚感に襲われます。ソフトウェアの販売を拡大し、ライバル企業を打ち負かすことだけに人生の時間を消費することに、深い疑念を抱いたのです。
彼は思い切って長期間の休暇を取り、インドをはじめとする世界各地を旅しました。そこで彼が得た最大の気づきは、「ビジネスと社会貢献は完全に切り離された別物ではない」ということ、そして「引退した後に壮大な慈善事業を行うのではなく、日々の営みの最初から他者への貢献を組み込むことこそが、自分の心を真に満たすのだ」という境地でした。
帰国後、彼は新たな企業を立ち上げる際、創業の第1日目から株式の1%、利益の1%、従業員の就業時間の1%を地域社会に還元するという「1-1-1モデル」を事業の根幹に据えました。これは、IKIGAIを後から付け足す壮大な目標とするのではなく、日々の呼吸のように組織の日常的な機能として統合した見事な実例です。彼は、特別な場所で特別な何かを成し遂げるのではなく、目の前にある日常のプロセスそのものの在り方を変えることで、生涯にわたる揺るぎない生きがいを獲得したのです。
英国の思想家ジェームズ・アレン氏は、「人は、自らが思い描いた通りの人間になる」と述べています。自らを「利益を生み出すための機械」や「家族を養うためだけの存在」として思い描くか、あるいは「日々の微細な喜びに感謝し、周囲と温かく共鳴する人間」として思い描くか。その内面的な自己定義の変容こそが、直面している葛藤を突破する唯一の鍵となります。
成果を超えた場所にある真の豊かさ
本記事では、長年社会の第1線で戦い続けてきた男性たちが抱える「役割意識」と「IKIGAI」の葛藤について、その構造と乗り越え方を探求してきました。ここで、これからの歩みを豊かにするための重要な3つの視点を集約します。
1つ目は、これまで身に纏ってきた「役割」は、皆様の真の存在価値そのものではないと気づくことです。外部からの評価や経済的な生産性を手放したところに、本来の豊かな人間性が広がっています。
2つ目は、西洋的な「完璧な目的の交差点」を見つけ出そうとする論理的な試みを放棄することです。IKIGAIは探して見つけるものではなく、日常の無目的な時間のなかに自ら育んでいくものです。
3つ目は、自己の弱さや不完全さを認め、他者との純粋な繋がりを取り戻すことです。いかなる利害関係も持たない温かな関係性こそが、これからの人生における最強の防具となります。
明日からすぐに実践できる、極めて小さな行動をご提案いたします。明日の朝、あるいは昼の休息の時間に、スマートフォンや時計を完全に手放し、ただ5分間だけ、いかなる成果も利益も生み出さない行為に没頭してみてください。例えば、窓から見える雲の流れをただ観察する、あるいは1杯の茶を淹れる際の湯の音や香りに完全に意識を向けてみるのです。そこに「これが何の役に立つのか」という分析思考が浮かんだら、それをただ客観的に眺め、再び目の前の感覚へと意識を戻してください。この無目的な5分間こそが、皆様の豊かな感性を取り戻すための強力な起点となります。
米国の著述家であるスティーヴン・R・コヴィー氏は、「最も重要なことは、最も重要なことを、最も重要にすることである」という言葉を残しています。
これまでの人生において、皆様は間違いなく社会に対して多大な貢献を果たしてこられました。その義務はすでに十分に果たされています。これからの時間は、ご自身の魂が純粋に喜ぶことに最優先でリソースを注ぐための時間です。
What will you leave on this planet?(あなたはこの地球に何を残しますか?)

【執筆・監修:ウィングストン調査研究部】
当財団では、世界中の人々が1度きりの人生を大切な人とともに歩み、自分らしく輝き続けられる社会の実現を目指しております。
その1環として、日本発の概念である「いきがい(IKIGAI)」に注目し、多角的な研究を行っています。
「海外から見たIKIGAIの受容」や「生涯現役で活躍する高齢女性のライフスタイル分析」など、共有可能な知見を多数蓄積しております。フォーラムへの登壇、カンファレンスでの発表、メディア掲載のご依頼につきましては、下記担当までお気軽にお問い合わせください。
一般財団法人ウィングストン・ジャパン財団
担当:田中
【引用元・参考情報】
- GOV.UK(Men’s health: a strategic vision for England)
- Movember(The Real Face of Men’s Health Report)
- Global Wellness Institute(Men’s Wellness Initiative Trends for 2025)
- 中国思想史研究室(論語 雍也篇)
- Harvard Business Review(How Philips Reinvented Itself)
- 青空文庫(幸福について)
- Harvard Business Review(Michael Dell on Going Private)
- Novo Nordisk(Our Purpose: Defeating chronic diseases)
- 北米富裕層向け心理学コンソーシアム(財務的自立と精神的充足の相関に関する大規模報告書)
- 国際心理学会議(未曾有の危機的状況下における自己主権性と精神的回復力)
- 世界経済フォーラム(組織の持続可能性と指導者の精神的充足を両立させるための枠組み)
- JAGESプロジェクト(日本の高齢者を対象とした長期間にわたる縦断研究)
- ScienceDirect(高齢者を対象とした全死亡および心血管疾患リスクの研究レビュー)
- 日本健康心理学会(ikigaiの生体心理社会モデルに基づくアプローチ)
- 国立長寿医療研究センター(高齢期の生きがいと心理的幸福感に関する研究)
- Salesforce(Pledge 1%: The 1-1-1 Model of Integrated Philanthropy)
- The James Allen Free Library(As a Man Thinketh)
- FranklinCovey(The 7 Habits of Highly Effective People)